相馬市の松川浦をきれいにしようと、ノリを養殖している漁民らが植林ボランティア「グリーンラップみずほ」を結成し、活動している。4日には、松川浦に注ぐ宇多川上流の山林を整備することで土砂流出を防ぐため、同市山上の荒れ地にクヌギの苗木150本を植えた。まだ会員も少なく植林面積もわずかだが、代表の漁師、遠藤友幸さん(42)は「息の長い取り組みを続け、植林の輪を広げていきたい」と意欲的だ。
会は今年4月に結成し、この日は6月に続いて2回目の植林だ。松川浦から約15キロ上流の宇多川支流沿いにある桑畑跡計2・66ヘクタールに4年がかりで植林する計画で、この日は約15人が参加して0・23ヘクタールに植林した。
記者も作業に参加したが、予想以上に大変な作業だった。「万能」という鍬(くわ)に似た農具で1・5メートル間隔に深さ30センチほどの穴を掘る。粘土質の土は硬く、土の中に残っている雑木の根に妨げられ、作業ははかどらない。1時間ほどかけ、ようやく10個ほどの穴を開けた。
それでも植林は全体の作業のほんの一部でしかない。事前には荒れ放題の桑の木を伐採し、雑草を払って植林地を整える地ならし作業を行う。また、植林後5年ほどは、定期的な下草刈りなど手入れが欠かせない。クヌギは成長が早いものの、成木になるのは20年後で、息の長い取り組みが必要だ。
松川浦で20年来ノリ養殖を行っている遠藤さんによると、下水道の整備で水質改善が進む一方で、宇多川からの土砂流入はひどくなる一方だという。「林業や養蚕業の衰退で荒れた上流の山林を整備し、保水力を回復しなければ」と植林を決意した。会は現在、NPO(特定非営利活動法人)の法人格の取得申請中で、会員も募集している。問い合わせは遠藤さん(090・4889・0845)へ。 |