アウトドアコンサルタント
中村達(とおる)さん(54)
「社会環境の変化に対応できない若者が増えている」。アウトドア生活のあり方を企画、提案する民間会社「ネーチャーインテリジェンス」(滋賀県野洲町)を設立した。アウトドアの普及と産業振興を目指し、講演などで全国を駆け巡る忙しい毎日だ。
日本の68%は山岳丘陵地帯。だが、「山で見かけるのは中高年ばかり。若者の姿は極端に少なくなった」と嘆く。あらゆる世代が登山やトレッキングを楽しむ欧米。一方、日本は若者の多くが山から離れてしまった。「自然に向かわない若者たちは一体どこで人間本来の五感を磨くのか。自然の中には好奇心の芽である不思議が詰まっているのに。こんなことで日本人はきちんと育つのか、とても不安」
京都市生まれ。中学生のころから山にひかれた。大学時代は毎年100日間も山にこもって過ごした。ヒマラヤの6000メートル級の山にも挑戦した。「山の魅力は、なんといっても達成感ですね。努力して未知のものを開拓したというね」
うれしい変化もある。学校の完全週5日制に伴い、自然体験学習が奨励義務になったからだ。アウトドア産業の状況は厳しく、指導する人材も不足しているが、「だからこそアウトドアと市民とを結ぶインタープリター(翻訳者)の育成が大切」と訴える。アウトドア産業が盛んになり、自然体験の機会が増えれば、若者たちも変わるはずだ。
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