三朝町の三徳山にある樹齢約800年の「しめかけ杉」が、肥料入りの土で根元を覆うなどしたかいがあって樹勢を回復しつつあることが、鳥取市在住の樹木医、山本真弓さん(52)の“診断”で分かった。杉は国宝・投入堂へ通じる参道沿いにあり、長年、参拝者に根が踏まれ続けて衰弱が目立っていた。
◇養分吸収のお陰樹 木医診断
しめかけ杉は高さ約30メートル、最大幹回り約5メートル。三徳山で一番大きな杉として神木的存在で、昔からしめ縄を掛けていたため、この名で親しまれてきた。
しかし、地表に露出した根が毎年約2万人訪れる参拝者に踏まれ、10年ほど前から枝先があちこちで折れたり葉が少なくなるなどしていた。98年秋、米田良中住職の依頼で山本さんが調査し、根の働きが低下し養分を十分に吸収できていないことが分かった。
99年5月、三徳山を撮り続けている同市在住の写真家、池本喜巳さんらの呼び掛けでボランティア約70人が肥料入りの土約14立方メートルを運び、根元を覆った。参道約15メートルにわたり板の歩道も設置、根が踏まれない配慮も。
山本さんはその後も年5回ほど足を運び、杉の経過を見守ってきた。10月末の調査の結果、老木のため幹に腐食が見られるものの地中で新しい根が出て、枝や葉の茂り具合も回復していることが分かった。
山本さんは、「(土を入れた)4年前は古い枝ばかりで葉の色も悪かったが、現在はいい色の葉がたいぶ覆ってきた。土の中で新しい根が伸びて、養分を吸ったおかげだろう」と手ごたえを感じている。米田住職は、「山の守り神ともいえる大木が、多くの人の協力で元気になるのはうれしい」と喜んでいる。 |