ひな祭りには雛人形を飾るのが一般的ですが、人形を飾る時期に悩む人もいるかと思われます。
実際に飾る時期というのは諸説ありますが、一般的には暦の上で二十四節季の始まりである「2月4日」の立春が目安になります。
雛人形を飾る時期などについて紹介していきます。
雛人形はいつから飾るの?
桃の節句である3月3日は女の子の節句の日でもあり、ひな祭りで女の子の成長を祝うというのが一般的です。
ひな祭りで活躍するのが雛人形ですが、様々な種類の人形が存在します。
3月3日が訪れるのを楽しみに待っている子供もいると思いますが、その際に親御さんが迷うことになるのが雛人形を飾る時期ではないでしょうか。
早くお雛様を飾りたいという気持ちも分かりますが、「いつ飾れば良いのか」、「飾るベストな時期があるのか」など、色々と疑問に思う人もいるはずです。
雛人形を飾る日はそれぞれの家庭によって異なりますが、ベストな日があるのかは興味のある点とも言えるでしょう。
雛人形を飾るベストな時期
雛人形を飾るベストな日について、地域によっては特に良い日ということはありませんが、一般的には暦の上で二十四節季の始まりでもある、2月4日の立春が目安と言われています。
そのため雛人形を飾る時期に迷っている方は、この立春を基準にしてみるのもいいかと思います。
立春を過ぎたらいつでも飾って大丈夫、ということです。
立春以降の日、その中でも特に大安や友引などの日を選ぶなど、縁起を担ぐのもいいかもしれません。
これらの要素を考慮してカレンダーを見ると、2020年にはいくつかの日が候補に挙がってきます。
2020年の2月のカレンダーでは、2月1日、4日、7日、10日、13日、16日、19日、22日、24日、27日などがありますが、この中でもおすすめの日は2月19日と言われています。
この日は、二十四節季の2番目に来る日でもある「雨水」にあたります。
雨水というのは、今まで降っていた雪が雨に変わり、その雨によって雪が溶けて水になるという時期を表しています。
つまり立春と同じように春の訪れを示していて、季節の変わり目でもあります。
昔から季節の変わり目は縁起が良いとも言われていますので、雛人形を飾る時期に迷っている方は、2月19日の雨水を選択するのもいいかもしれません。
ただ雨水の日が大安とは限りませんので、大安を重視する方は注意しておきましょう。
大安が気になる人にとって、仮に雨水の2月19日が仏滅や赤口になると、どうなのか気になるところです。
仏滅と赤口であると、どんなに縁起の良い雨水の時期であっても、飾るのをためらう人も出てくると思います。
赤口と言うと、仏滅と同じくらい縁起が悪い日とも言われていますので、他の日を検討する方もいるかもしれません。
そうなると「雨水の日には雛人形は飾れない」という結論に至りますが、実際のところはどうなのでしょうか。
縁起が悪いとされる赤口や仏滅ではありますが、実はその中にも吉とされる時間帯があるのです。
それが11~13時頃になり、雨水の時期が赤口や仏滅というときには、その時間帯を見計らって雛人形をセットするのも最善策と言えるでしょう。
雛人形を長い期間鑑賞したいのであれば2月4日の大安の日に、期間よりも縁起を担ぎたいのであれば2月19日の雨水の日を選択するといいでしょう。
それ以外の場合であっても、遅くとも2月27日までには一通りの雛人形を飾っておきたいものです。
雛人形を飾るのを避けたい日
雛人形を飾るベストな時期がある一方で、人形を飾るのに縁起が悪い日もあります。
その日は「3月2日」になります。
ひな祭りの日がまだ訪れていないのに、どうしてこの日が悪いのか気になると思います。
3月2日はひな祭りの前日になりますが、桃の節句のひな祭りというのは3月3日だけ、と言うイメージを持っている方もいるのではないかと思います。
確かにそのイメージもあるのですが、実はひな祭りそのものは3月3日だけではないのです。
具体的には3月2日の宵節句、3月3日の本節句、3月4日の送り節句があります。
そのため3月2日には、祭事がもうスタートしていることになるのです。
3月3日の節句前日に雛人形を飾るのは、「一夜飾り」と呼ばれていて、非常に縁起が悪い日ともされています。
何故縁起が悪いのかと言えば、一夜飾りというのはお葬式をイメージさせてしまうからです。
お葬式も一夜飾りの儀式になり、ひな祭りの前の日に慌てて飾るのは良くない、とも言われています。
雛人形を飾る日はとても迷うと思いますが、実際に良い日もありますので、その日を選択するといいでしょう。
雛人形の飾り方
雛人形を飾る際に欠かせないのが雛段ですが、雛段飾りには内裏雛はもちろん、それだけでなく官女や随身といった多くの雛人形を並べるのが一般的です。
現代では、それ以外のあまり見慣れないような雛道具もありますので、どの段に何という雛人形を飾るのか、順番をどうすれば良いのかなど、毎年の飾りつけに悩んでしまう人もいるのではないかと思われます。
雛人形の飾り方と並べ方ですが、雛人形や雛道具については一般的な飾り方や並べ方がありますので、解からない方はそれを基準にすればいいと思います。
ただ雛段飾りを購入したお店からアドバイスを受けた通りの飾り方や並べ方をしても、友達や親戚などから雛人形の並べ方が違うと指摘されることもあるようです。
どうしてかというと、各地域や時代によって標準となる基準が変わってくるからです。
例えば、関東と関西では並べ方が異なっており、例えば内裏雛を逆に置くことが多くなると思います。
具体的には、関東地方は向かって左側に男雛、右側が女雛になっていて、京都や関西の一部の地域では、向かって右側に男雛、左側に女雛を置くのが一般的です。
地域によって置き方が異なるのは、内裏雛が模していると言われる「帝」と「妃」の位置が、現在と昔とで変わってきているからです。
標準的な飾り方
標準的な飾り方を紹介していきます。
雛人形や雛道具については、基本的にはそれぞれの格式や序列に沿って並べるのが一般的ですが、そのように格式と序列に従って並べると、全体的な見た目が美しくなるからです。
そもそも雛段飾りとは、平安貴族の婚礼の状況を表現していると言われており、昔の婚礼は夜の時間帯に行われていたことからも、雛段飾りには雪洞(ぼんぼり)の灯すのが通例でした。
新郎新婦の内裏雛を始め、その方のお世話をする官女、さらに護衛の随身や宴を盛り上げてくれる五人囃子など、数多くの嫁入り道具などを揃えたものが標準的な雛段飾りになります。
お祝い事は奇数が良いとされていることから、雛段も同じ奇数になっており、三段、五段、七段などが基本形になっています。
次に雛人形の並べ方ですが、雛人形を飾る際には、上から並べるのが良いと言われています。
上の段から並べるのには理由があり、雛人形を飾る際に手から滑って人形や道具を落とした場合であっても、下段にセットした雛人形や飾りなどを傷つけないで済むからです。
下から並べてしまうと、間違えて大きな損傷を負ってしまうこともあるかもしれません。
昔のように和服を普段着としていた時代は、雛人形を下の段から飾ってしまうと、上の段を飾る際に服の袖が人形や道具に触れる可能性があり、破損してしまう恐れがあるのです
そのため上から飾るのが良いと言われており、それが現在にも受け継がれているのです。
七段飾りの雛人形や雛道具の飾り方と並べ方
七段飾りの雛人形や雛道具の飾り方と並べ方について紹介します。
まず一段目の男雛ですが、冠を被って手に笏(しゃく)を持ち、さらに左脇に刀を差しているのが男雛です。
ここでは冠は纓(えい)を真っすぐに立て、冠の紐については紐を親指と人差し指を使って2つの輪を作り、冠の左右のかんざしに掛けてください。
一段目の女雛は、檜扇(ひおうぎ)を広げて手に持たせるようにします。
手に持たせにくい場合には、袖口から胴体に近い場所を持って動かすといいでしょう。
次に二段目になりますが、ここには三人官女を並べます。
三人官女の中に座っている官女がいるときは中央に置き、両側の官女は立つように配置してください。
雛人形の中には、2人の座姿の官女と1人の立姿の官女になっていることもありますが、その場合は立姿の官女を真ん中に置き、両側に座姿の官女を置くといいでしょう。
中央にセットした官女は三方を、向かって右側の官女は長柄銚子(ながえのちょうし)を、そして左側は加銚子(くわえのちょうし)を持ちます。
三人官女のひとりが年長者を表す眉であったり、お歯黒であったりするケースもあるようです。
三段目には五人囃子を並べます。
三段目については各地域によって違いがあり、関東地方では能楽の地謡や囃子方を、関西地方では雅楽の楽士を並べるところもあるようです。
五人囃子を見ると分かると思いますが、通常の人形は子供のような、あどけなく可愛らしい顔で作られています。
五人それぞれに特徴があり、雛段に元気で生き生きした雰囲気を演出してくれるのが魅力的ではないかと思われます。
並べ方ですが、向かって右側から、謡い(うたい)、横笛(よこぶえ)、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓(たいこ)の順になっていて、左側に行くほど音の大きな楽器になります。
四段目には、随身(ずいしん)の一対を並べることになります。
随身というのは御所の警護の武官のことですが、 雛段飾りにおいては矢大臣(やだいじん)や右大臣、左大臣など呼ばれることもあります。
随身の右と左は内裏雛から見た位置になりますので、向かって右側に左大臣を、左側には右大臣をセットしてください。
左大臣が格上ですので老人の姿になり、右大臣は若者の姿になっていますので迷うことはないと思います。
次の五段目には、仕丁(しちょう・じちょう)の三人を並べてください。
仕丁は「泣き」、「笑い」、「怒り」の三つの表情で作られていることが多いことから、「三人上戸」と呼ばれることもあります。
仕丁は御所の雑用を司っている人たちのことになり、向かって左から、台笠(だいがさ)、沓台(くつだい)、立傘(たてがさ)を持っているのが特徴です。
関西(京都)地方では、箒や塵取り、熊手など持っています。
次は六段目ですが、ここには雛道具をセットします。
この雛道具は、上級武家の婚礼道具を模したもので、箪笥(たんす)、長持(ながもち)、挟箱(はさみばこ)、鏡台(きょうだい)、針箱(はりばこ)、火鉢(ひばち)などがあります。
最後は七段目になりますが、中央に重箱をセットして、左右に御駕篭(おかご)と御所車(ごしょぐるま)を置きます。
特に決まった置き方はありませんが、通常は向かって左側に御駕篭を、右側には御所車を置くのが一般的です。
雛人形の種類や意味、役割を知ろう
3月3日の桃の節句にはひな人形を飾り、女の子の健康や成長を願うのが一般的です。
そんな雛人形ですが、一口に雛人形と言っても様々な種類があります。
その中でも最も古い雛人形と言われているのが「流し雛」になり、こちらは紙人形のことです。
藁で編んだ桟俵(さんだわら)という入れ物に、和紙などを使用して作った雛人形を入れます。
そして立ち雛もあり、これは一般的な座った姿の雛人形とは異なり、その名の通りで立った姿の雛人形のことです。
立ち雛の場合は、お内裏様とお雛様だけのものをよく見かけますが、全体的な場所を取らずに飾りやすいのがメリット言えるでしょう。
さらに吊るし雛もあり、これは江戸時代から始まったものです。
お雛様やお内裏様はもちろん、他にも様々な種類の人形を天井から吊るします。
吊るし人形は、近所の人がそれぞれ持ち寄った雛人形を吊るしたのが始まりとされています。
雛人形の段数が違うのは?【7.8.9段】
雛人形の段飾りと言うと、3段、5段、7段の3種類が多く、実際に飾る人形の数は、5人、7人、15人など、どれも奇数で飾るのが一般的です。
実はこの数字は、古代中国で誕生した陰陽道が大きく関係しています。
陰陽道というのは、木火土金水の五行、日月や十干十二支を組み合わせることで、吉凶や日時や方角などの判断や人事全般の運勢を占ったりする俗信のことです。
それらに基づいて、雛人形の段数についても陰陽道の数字を元にして作っているのです。
ひな祭りのお祝いの仕方などを知りたい方はこちらの記事で分かります