お魚は、祭典の時などに神への献供物として使われます。
神への献物となるので、当然尾頭付きとなり、「献魚」と呼ばれます。
切り分けられていないということで縁起が良いと、丸ごと一匹使われます。
「尾頭付き」とは字のごとく、頭から尾まで付いている魚の事です。
昔の暮らしでは貧乏な家が多く、頭から尾まで丸ごと一匹の魚を用意できる家が少なかったので
とても貴重な物となっていました。
冷蔵技術が浸透していないのも原因の一つです。
祭事の時だけ尾頭付きの魚を借りて献物にして、祭事が終わると返す。
ということも当たり前だったようです。
そして、年末のお祭りなどで最高のご馳走になるのが尾頭付きの魚でした。
こういう経緯からも「尾頭付き」は特別な物になっています。
鯛を用いられるのは、「めでたい」との語呂合わせとも言われますが、
昔から高級魚として有名な鯛は、普段から一匹丸ごと買える魚では無かったので
お祝いの席でしか食べられない、有難いお魚とされてきました。
普段から手に入るお魚ではおめでたくも無くなるし、有難くも無くなるのかもしれません。
魚を置く向きも決まっています。頭は左に尾は右にします。
日本の礼法では右よりも左の方が上位とされているからです。
頭の方から食べ始め、尾の方まで綺麗に食べる。という事から
「一つの事を初めから終わりまでまっとうする」という意味も込められています。
食べ方のマナーとして、上身を全部食べた後はお魚をひっくり返しません。
骨を綺麗に取り除いて、下の身を食べます。