江戸時代に広まったとされる「初詣」の習慣は、地元の神社へ参拝して、昨一年の感謝を捧げて今年一年の無事を祈願したものです。
交通機関の発達でよって、有名神社への参拝が定着したのは戦後のことだそうですが、身近な神社に初詣も心洗われる思いがする行事です。
正月の神様を迎える
年が改まると、まったく全てが新しく感じられるものです。
たった一夜明けるだけなのに、どうしてなのでしょう。
お正月とは、家に歳神様をお迎えする大切な行事でもありますから、神棚がある家は家族全てが揃って拝礼したようです。
神棚が無い場合は「鏡餅」が歳神様の拠り処とされていますが、鏡餅に拝礼はしないようですよね。
神棚の有無に関わらず、『初詣』は地元の神社に参るのが習わしのようです。
家の神様と神社の神様
家に歳神様をお迎えし、感謝してお祈りした後で、神社への参拝をします。
なぜ二度も神様に参拝するのか、と言うと、家にお迎えする年神様と神社の神様は別の神様だからです。
家にお迎えする歳神様は「祖先神」と考えられています。
つまり、自分の祖先を神様としてお迎えするのですから、大きく見たら内々のこととも言えるでしょう。
地元の神社に祀られている神様は、その土地の様々な由来を持つ神様で、その地の人々を守ってくださっていると、考えられているのでしょう。
まず、家族全員で歳神様を家にお迎えして感謝し、そして家族揃って地元の神様を拝礼に行く、という風習があったようです。
最近では地元の神様より、ご利益の大きそうな有名神社などへの参拝が多くなっているようですが…。
晴れ着と参拝
筆者の若い頃には、渋谷在住だったこともあり、「明治神宮へ初詣」でした。
元旦を迎えて、暮れの内に新調してもらった和服を身に着け、家族揃ってお参りする習慣がありました。
それぞれの家で新年の習慣はあるでしょうが、「初詣」は「何とはなしに」続いている人も多いのでしょう。
家族ではなく、友人達と着飾って楽しく初詣するグループも居るようですし、様変わりしているのでしょうか。
年が改まると、何もかも新しく改めたくなるのが日本人の性格のようです。
衣服なども、「下着から全て新しいものを身に着けるもの」という考え方もあるようです。
それがお正月の楽しみでもあるのですから、年老いてきた現在でも、何か新しいものを身に着けることは続いています。
考えてみれば、新しい年に新しい気持ちでお参りする際に、古いものではなく新しいものを身に着けるのは、理に適っていることですよね。
初詣は何時行く
昔は「除夜詣」と「元日詣」とあったようですが、「元日詣」が現在の初詣の原型と言われていて、明治中期頃からの習慣になったようです。
大晦日に除夜の鐘を聞いて、それから改めて参拝する「二年参り」の形もあったとか。
現在では、両方共に行う初詣をテレビ中継などで見ることはできますね。
でも大抵の家庭では、元旦は朝寝してゆっくり起床し、遅めの朝食を家族で囲む、というのが正月の始めの日の過ごし方では多いのではないでしょうか。
それから初詣する家もあり、三が日の都合の良い日にお参りする家もあって、様々な様子です。
自宅から見たその年の恵方参りとしての神社への参拝もあったようですが、次第にその意味は薄れていったとか。
寺社への参拝では、各々の参拝形式にしたがってお参りします。
「お守り・破魔矢・熊手」などを受けたり、絵馬に願い事や目標を記したり、今年一年が良い歳であることを祈願します。
寺でも神社でもかまわないのは、明治初期の神仏分離以前の考え方であった「神道と仏教や祖霊信仰の一体化・神仏習合」の一般化によるものだそうです。
また、初詣には期間も特定されていないようで、三が日以外の1月中でも初詣と考えられるとか。
一般的には松の内に参拝することが多いようですが、新年の挨拶を交わしたり、年賀状のやり取りをすることと、同様に考えられているのでしょう。