立夏

  

2023年

5月5日(火曜日)

二十四節季七十二侯
立夏初候蛙始鳴
(かわずはじめてなく)
蛙が鳴き始める
次候蚯蚓出
(みみずいづる)
蚯蚓が地上に這出る
末候竹笋生
(たけのこしょうず)
筍が生えて来る

ゴールデンウィークが終わり、ニュースでは5月病などが心配される5月上旬頃、「立夏(りっか)」という季節がやってきます。

立夏とは、暦の上で夏が始まる日で立秋までが夏とされています。

しかし、現在の日本では5月上旬と言えば、まだまだ春日和です。

とても夏を迎えたとは思えない気候ですが、暦の上では確かに夏を迎えたことになっています。

今回は、立夏の意味や日程の決め方、過ごし方、季語などをご紹介します。






立夏てどんな日

立夏とは、二十四節気の中の4番目にあたり、夏が始まる節気です。
時期的には、5月6日頃から5月20日頃までです。

有名な季節の分け方に、春夏秋冬の四季がありますね。
四季によると、5月上旬はまだ春です。

しかし、4つの季節のそれぞれをさらに6つに分けて24個の季節に設定した二十四節気という季節の区分法では、5月上旬あたりは、夏になります。

二十四節気は中国で発祥して、日本に持ち込まれた季節の区分法です。
昔の日本では、農作業の計画を立てる際に、二十四節気を基準にして天気を予想していました。

立夏は、夏が立つと書きますが、ここでいう「立つ」とは、自然の現象が目立って現れるという意味で、立夏の場合は、夏の現象が目立って現れると言う意味合いがあります。






立夏は何をする日?

立夏の頃には、こどもの日や母の日などのイベントが多いです。
それぞれのイベントについて、説明していきます。

・こどもの日
5月5日のこどもの日は、日本で制定されている国民の祝日の一つで、祝日法2条により「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」が趣旨とされています。

つまり、子供の成長をお祝いしながら、これからの幸せを願い、子供を育てる母親にも感謝する日なのですね。

現在の5月5日のこどもの日は、その昔、端午の節句という行事が行われていました。
端午の節句は、男の子をお祝いする日であったので、現在のように男女関係なく子供のお祝いをするのではなく、男の子だけをお祝いする日だったのです。

その名残か、現在のこどもの日でも五月人形や鎧、兜、こいのぼりを飾りますね。

3月3日のひな祭りが女の子のお祝いなら、5月5日のこどもの日は男の子のお祝いをする風習が今でも残っています。

5月5日のこどもの日は、柏餅を食べたり、菖蒲湯に入ったりする風習もあります。

・母の日
5月の第二日曜日には母の日も行われます。
母親にカーネーションを送り、感謝する日として有名ですが、その始まりは100年ほど前のアメリカ・ウェストヴァージニア州のフィラデルフィアの教会での追悼からだと言われています。

1908年の5月10日に、アメリカのアンナ・ジャービスという女性は亡き母の追悼のために、フィラデルフィア教会にて赤いカーネーションを配りました。

そこから1910年には、アメリカのウェストバージニア州の知事が5月の第二日曜日を母の日に制定し、それが日本にも伝わって、現在の母の日となったのです。
日本で初めて母の日が行われたのは、1915年のことでした。

ですから、日本においても母の日の歴史は非常に長いのです。






立夏に関係のある季語

立夏に関係のある季語は、夏に入ったことが感じられる言葉が多いです。

・夏立つ
・夏に入る
・夏来る
・今朝の夏

次のような俳句も有名です。

・夏立つや未明にのぼる魚見台(高田蝶衣)

・藤垂れて立夏の急雨到りけり(臼田亜浪)

・毒消し飲むやわが詩多産の夏来る
(中村草田男)

・楠に風東海大学夏に入る(長谷川櫂)

手紙では、このような挨拶文がよく使われます。

・暦の上では夏となりました。お変わりなくお過ごしでしょうか。
・立夏を過ぎ 陽射しの中にも夏の気配が感じられます。
・立夏の候、雨上がりの優しい日差しに若葉が輝いております。
・立夏の候 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

5月のお手紙を書く際に参考になりますよ
5月の時候の挨拶






立夏に関係ある食べ物は?

立夏には、沢山の野菜や果物、魚介類などが旬を迎えます。
また、行事にちなんだ食べ物もあります。

○こどもの日のちまきや柏餅
こどもの日」「端午の節供」に欠かせない食べものといえば「粽」と「柏餅」です。なぜ、5月5日に「粽」や「柏餅」を食べるのでしょうか。関東と関西でも、どちらがより親しまれているか違いがあるようです。

・ちまき
ちまきは、もち米やうるち米、米粉などで作った餅を笹などで包んで三角形にし、い草で縛ったお餅です。

昔は、チガヤの葉っぱで餅を包んでいたため、ちまきと呼ばれるようになりました。

ちまきは、中国から伝わったお餅です。

中国の楚国にいた政治家・詩人の屈原(くつげん)が5月5日になくなり、毎年命日にはお供え物として、ちまきを作ることになりました。

当初は餅だけをお供えしていましたが、悪い龍に盗まれないようにするために餅を葉っぱで包むようになったのがちまきの始まりです。

・柏餅
柏の葉っぱで包まれた柏餅も、こどもの日あたりに食べる有名なお餅です。

柏は古来より神聖な木として扱われており、新芽が出ると古い葉が落ちることから「子供が生まれるまでは親が死なない」と考えられるようになり、そこから子孫繁栄のお餅として柏餅を食べる風習が始まりました。

○野菜

・新じゃがいも
通常のじゃがいもよりも皮が薄くて、柔らかい食感が魅力の新じゃがいもは、立夏の頃が旬です。
皮をむかずに調理しても、食べられるので、皮の部分の栄養もしっかり取れます。

・たけのこ
お吸い物や煮物、筍ご飯にするとおいしいたけのこは、立夏の頃にちょうど生えてきます。
伸びすぎないうちに収穫して食べるとおいしく、ちょうど5月頃が良い時期なのです。

○魚介類

・金目鯛
気温が暑くなるほどに美味しくなってくるのが、金目鯛です。
金目鯛は、煮物にして食べると美味しく、身もほぐれやすいので食べやすいです。

○果物

・いちご
5月といえば、いちごです。
いちご狩りに出かける人も多いですね。
この頃のいちごは、甘くて水分をたくさん含んでおり、すごくおいしいです。






まとめ

立夏は、夏が立つと書いて、夏の始まりを意味する節気です。

しかし、期間的には5月6日頃から5月20日頃なので実際には春であり、夏を感じにくいかもしれません。

立夏の頃には、こどもの日や母の日などのイベントが多く、それにまつわる食べ物をいただく風習もあります。

こどもの日や母の日が続く頃だからこそ、風習の柏餅やちまきを食べたり、カーネーションを贈ったりして、家族の絆をより深められるといいですね。






夏の二十四節季を知ろう

四季節気旧暦西暦
立夏(りっか)4月節5月5日頃
小満(しょうまん)4月中5月21日頃
芒種(ぼうしゅ)5月節6月6日頃
夏至(げし)5月中6月21日頃
小暑(しょうしょ)6月節7月7日頃
大暑(たいしょ)6月中7月23日頃